突然の声にビックリして振り返ったら部屋の中央に伊吹様が立っていた。
い、いつの間に部屋の中に…。
伊吹様って神出鬼没だよね。
「美味いか?」
「あ、はい!おいしいです!ありがとうございます」
「ん…」
伊吹様は私の隣に腰を下ろすと手に持っていた徳利に口を付けた。
「それ、さっきシトリ様が飲んでいたお酒ですか?」
容器が同じだからお酒なんだろうけど、さっき伊吹様は下戸だって言ってたような…。
「いや、酒じゃない。中は桃水だ」
桃水?桃味の水かぁ。
それも甘そう。
伊吹様は意外と甘いの好きなのかな?
「……飲むか?」
ジッと見つめていたら徳利を差し出された。
「良いんですか?」
「ああ。飲め」



