「わざわざ、ありがとうございます」
「今は夏だけど、この屋形は雪のせいで寒いからホットにしちゃったの。良かったかしら?」
「はい!ホットの方が好きなんです」
私はあったかいコップを受け取ると、さよ子さんと別れて部屋の窓辺へ近寄った。
「伊吹様…優しいんだよね」
何を考えてるのかわからない時もあるけど、基本的に伊吹様は優しい。
人間嫌いとか言ってるけど、きっと私のことを気遣かってココアを持ってきてくれたんだ。
さっき食事中に溜息ついてたからかな?
伊吹様にも心配かけちゃったんだね、私。
伊吹様を思い出しながら一口飲んでみた。
「ん……甘い」
ココアを飲むとホッとする。
心が落ち着く感じ。
「美味いか?」



