「さよ子はお前の小間使いではないのだぞ、シトリ」
「ならば貴様の息子、伊吹に命じるか」
私の後ろに控えていた伊吹様がピクリと反応した。
「少しは自ら動け。ほら、酒だ」
静寂様が徳利を投げ渡す。
シトリ様は軽々と受け止め、それに口付けた。
「ふむ、さすが静寂よ。良い酒だ」
「だろう。伊吹にも勧めたんだが…下戸ゆえな。話のわかる奴が来てくれて嬉しいぞ」
へえー、伊吹様ってお酒ダメなんだ…。
「静寂、貴様も飲め」
「阿呆。お前と同じ徳利からなど飲めるか。毒にやられる」
そんな龍神様達のやり取りを眺めながら、シシャモをパクリ。
焼きたてなのか、中があったかくておいしい。
「シシャモおいしいですね」
「あら本当?嬉しいわ」
さよ子さんと会話していると横からシトリ様が口を挟んできた。
「こんなもの、塩ふって焼くだけだろうが。誰でもうまく作れるだろう」
「ほう、ならシトリ。お前が料理してみろ」
静寂様が言い返す。
この二人、仲が良いのか悪いのかわからない…。



