突然ぐらぐらっと床が縦に揺れ、小刻みの震動が伝わってきた。
「きゃ!?地震!?」
思わず座っていた体勢を崩したら、伊吹様が背中からそっと抱きしめてくれた。
「案ずるな。すぐにおさまる」
耳元で囁かれ、千早様とはまた違う低音ボイスにドキリとなる。
「また暴れ谷で龍が暴れているのだろう。ここは谷に近いからな。よく揺れが伝わってくるのだ」
無口な伊吹様に代わってシトリ様が解説してくれた。
「暴れ龍が…?谷に近くて大丈夫なんですか?」
「問題ない。五龍それぞれの長が協力して結界を張っているからな。奴らに何もない限り、結界が破られることはない」
そう言うとシトリ様は立ち上がった。
「では良いな、沙織。千早が来るまで大人しくしておるのだぞ」
「千早様は…すぐ来るでしょうか…」



