そうなんだ…。

納得した。

龍の姿は誰でも見えるから、七不思議として語り継がれてるんだね。

見えてなかったら語られないもん。


「この辺りかな?」


「あ、はい。その竹やぶの…もう少し先です」


手の平サイズだった家々がだんだん大きくなってくる。

人って案外、空を見ないものなんだね。

歩いてる人とか、全然私達に気づいてない。

まあ、上見て歩いてたら足元が危ないもんね。


「あ!そこです」


私が指差した家の庭に、千早様はふわりと降り立った。


「到着だね」


「ありがとうございました」


一礼したら頭をポンと撫でられた。


「畏まらなくていいよ。今日は楽しかった。またね」


チュッ


軽いリップ音が響く。


「なっ!?」


口づけられた頬が一気に熱くなった。


「あははは!じゃあね、沙織」


「からかわないで下さい!こんなことするなら、もう行きませんから!」

飛んでいく龍神様の後ろ姿に、私は赤面しながら文句を放ったのだった。