「まあ、固くなるな。貴様に死ねと言うわけではない」
「じゃあ…話とは…何でしょうか」
すると、シトリ様は遠くを見つめるような眼差しで語り出した。
「………ふむ。貴様になら…話しておいても良いかと思ってな」
「何を…ですか?」
「千早の父、夕星のことだ」
千早様のお父さん…。
私のおじいちゃんと同じ名前の夕星様。
「亡くなったんですよね…?」
「………いや、奴は生きている」
「え!?」
「今はどうか知らんがな」
「どういう意味ですか?」
「あいつは死んだのではない。転生山に挑んだのだ。そして…帰って来なかった」
それって……登りきったってこと?
「夕星は人間に生まれ変わったのだ。たった一人の女のために。多くを犠牲にしてな」



