どうしよう。
私、千早様が来てくれたら黄金の屋形に戻るつもりなんだけど…さよ子さんは完璧に誤解してるよね。
「沙織、話がある。こちらへ来い」
私がどう誤解を解こうか考えていると、一足先に部屋へ入って寛いでいたシトリ様から声がかかった。
「じゃあ、私は自分の部屋にいますから、何かあったら声をかけて下さいね」
「はい、ありがとうございます」
廊下でさよ子さんと別れ、急いでシトリ様のいる和室へ入る。
何となく、シトリ様を待たせたら後が恐そう…。
「来たか。座れ」
「はい…」
ぎくしゃくしながらシトリ様の目の前に正座したら、プッと笑われた。
「貴様、何を固くなっている。面白い奴だ」
「お、面白い…?」
笑わせるつもりなんてなかったんだけどな。
シトリ様のツボがわからない。



