龍神様との恋愛事情!


見捨てられなかった?

じゃあシトリ様は毒龍になる覚悟で土地を守ってくれたの?


あれ?でも龍神様って、産土神様の代理で願いを聞くのが御役目なんじゃなかったっけ?

守護するってどういうことだろう?


「あの…シトリ様は人間の世界でどんな御役目をしていたんですか?」


シトリ様はまた一つフィナンシェを口に放り込むと、お茶をすすりながら説明してくれた。


「私に限らず龍神は皆、派遣された土地に住まう人間の生き死にや自然を見守るのが役目だ。産土神の代わりに願いを聞いてやったり、汚れた自然を浄化したりな」


やっぱり願いを聞いたりもするんだね。


「自然の浄化って、どうやってるんですか?」


「己の中に不浄のものを吸収し、代わりに龍神の正気(せいき)を放出するのだ」


葉っぱの光合成と似てる?

水と二酸化炭素を吸収して酸素を出す、みたいな。


「我が体内で不浄のものは浄化されるのが普通だが、あまりに汚染が酷いと浄化が間に合わん。体内での浄化作用が終わらずにまた不浄のものを取り込むと、それが毒となり体内に溜まり、段々と身体が侵食されていく。そうして無理な浄化を続けると、最後には毒龍となるのだ」