「私の父上を殺した貴方に命令されて…素直に従うとでも?」
父上を殺した!?
そういえば千早様のお父さんは毒龍に殺されたって…。
まさかそれがシトリ様?
「ふふふ…憎いか。この私が」
「いや。ただ未だに信じられないだけだよ。父上と仲の良かった貴方が、なぜ…」
千早様が目を細めた。
なんだか、とても辛そう。
「……そんな昔の話はよい。今は貴様らの――」
「失礼、お茶をお持ちしましたよっ!」
いつの間にか、若月様が広間に来ていた。
お盆に三人分のお茶を乗せてドカドカと近寄ってくる。
「ふむ、やっとか。手際の悪い」
お茶が来たとわかるとシトリ様は行儀よく床に座った。
若月様への文句を忘れずに…。



