「ふむ……ふむ…」
そのまま、私の顔は扇子に誘導され、右を向いたり左を向いたり…。
これは…品定め的な何かですか…?
「シトリ様!沙織に何を!」
されるがままになっていた私を千早様が腕の中に奪還してくれた。
よ、良かった……。
ホッとしていたら、パシッという軽い音がした。
見ると、シトリ様が自分の手の平に扇子をパシパシ叩きつけている。
「ふん、さっぱりわからん。納得いかん。何がよくてこんなガキを好きになったのか皆目見当がつかんわ。千早、理由を簡潔に述べてみよ。十字以内だ」
「望むところだ」
ど、どうしてこういう展開に?
それに千早様、本当に十字以内で言うつもり!?
ハラハラして見守っていたら、唐突に千早様が口を開いた。



