三階の広間へ行くと、一足先に到着していた毒龍が中央の台座の前に座っていた。
胡座をかいて、寛ぎモード全開だ。
私と千早様はそろって畳の台座に腰を下ろした。
成り行きに任せて持ってきてしまったフィナンシェの入った紙袋を床に置き、突然の来訪者と向かい合う。
「ふっ、貴様がそこに座るようになるとはな。もっと遠き未来のことかと思っていたぞ」
扇子を口元にやって毒龍が上品に笑った。
「私の方こそ、シトリ様とこんな形で対面することになるなんて、想像すらしたことがなかったよ」
シトリ様…?
この方はシトリ様っていうんだ。
でも、なんで千早様がシトリ様に「様」づけを?
千早様が他の龍神様に様づけするの、初めて聞いた。
珍しくてじっくりシトリ様を見つめていると、バチッと目が合った。



