「千早様は人と共に歩むことを決めたのですよね」
朧様が確認するように尋ねた。
「そうだよ」
力強く頷くと、千早様は私の手をキュッと握ってくれた。
「沙織を妻にするんだ。この愛しさは揺るがない」
千早様…。
私も、貴方と生きれることが嬉しい…。
「なら僕に祝福させてくれませんか」
「銀龍の祝福か…。そうだね………ありがとう。受け入れよう」
「はい。ありがとうございます」
すると、朧様の姿が月明かりにスーッと消えた。
かと思うと次の瞬間、地面が、木々が、水面が、一斉に淡く光り出した。
「これは…?」
「銀龍の祝福が始まるんだよ。彼らは私達よりも霊に近い存在だからね。自然界のエネルギーを通して私達に祝福をくれるんだ」
この光が自然のエネルギー。
まるでたくさんの蛍がいるみたい。
ぽわんとした丸い光の粒が、木々の葉や草花、大地、水底に宿り、幻想的な世界を作り上げてる。



