「滝の上?何も見えないが…」
私も顔を上げて滝の上を見たけれど、千早様と同じく誰の姿も目にすることはなかった。
「僕は銀龍ですから、千早様にもお嬢さんにもこの姿は見えないでしょう」
銀龍…!?
出会えたらレアな、あの銀龍が滝の上に?
しかも私達の情事をのぞき見して…た…?
ヤバイ……冷静に言葉にすると、顔から火が出るくらいに恥ずかしい…!
「銀龍か。成る程ね。またなぜこんな時刻に、こんな場所へ?」
「たまたまです。この滝は僕のお気に入りの場所でして。たびたび、ここで千早様を見掛けていました」
「そうか。なら今宵の出会いは偶然が引き寄せた必然だったわけだね…。ところで声が幼いね。君、名前は?」
すっかり警戒を緩めた千早様。
また着物しぼりを再開させると、滝の上から声が降ってきた。



