「素晴らしいですね。まさか愛の契りが、かくの如く神秘的で美しいものだったなんて…」
この呟きを耳にしたのは、興奮冷めやらぬ自身の身体をクタリと岩に横たわらせていた頃だった。
隣で着物をしぼっていた千早様にも聞こえたようで、彼は警戒して辺りを見回した。
「誰だっ」
未だ素っ裸な私を背中に隠すようにしながら周囲へ気を配る千早様の声に、緊張が走る。
「のぞき見とはイイ趣味をしているじゃないか。姿を現せ…!」
夜明けにはまだ時間があるため、辺りは闇が濃い。
だから、月明かりが私達を手伝ったとしても声の主を探すことは困難だった。
「ああ…すみません。隠れていたつもりはないのです。僕は滝の上にいますよ」
凛とした少年のような声が返ってきた。



