「のぞき見かい?趣味が悪いな」
千早様の呟きに恐る恐る外を見る。
すると、ベランダに人影を発見した。
「鏡花、君はもっと物分かりのいい子だと思っていたよ」
キラキラと月明かりに輝く長い金髪。
人影の正体は鏡花様だった。
なら、今の雷は鏡花様が…?
突然すぎる彼女の出現に混乱していると、鏡花様がこちらを睨みつけながら低い声を出した。
「千早様に人間は相応しくないわ」
「それは君が決めることではないよ。でしゃばらないでくれないか」
静かな怒りを放つ鏡花様に対し、逆撫でするような言葉を平然と口にする千早様。
「憎い…憎いわよ…沙織さん」
彼女から発せられる憎しみの感情が全て私に向けられる。
「あの時、もっとボロボロになれば良かったのにっ…!」



