気づいたらキスが始まっていた。
千早様にしては珍しい、奪うような…貪るような口づけ。
「んっ…ふ……っ」
息をすることも許さないこのキスは、何だか伊吹様の時と似てる。
搦め捕るように腰を抱かれ、奥の奥まで支配される感覚。
麻薬にも等しい危険な快感が押し寄せてくる。
「ち……ぁや、様…」
呑み込まれそうな意識を振り払うように涙目で名前を呼んだら、クスリと妖笑された。
開け放たれたベランダに続く窓からの穏やかな月明かりが、妖艶に微笑む千早様を照らし出す。
その時だった。
ビシャーン!!!!!
「きゃああっ!?」
ベランダに雷が落ちた。



