単に、油断していたんだと思う。
初めて四龍の長達と対面したあの日から数日。
千早様がいつでも隣にいて彼女達の恐怖を私が忘れそうになっていた頃。
「ん…沙織?どうしたんだい」
私は夜中に起き上がった。
なんてことはない。
単純にトイレへ行きたかっただけ。
「トイレ行ってきます」
パジャマ代わりに着るようになった寝間着用の着物がはだけてしまわないか気にしながら、立ち上がる。
隣の布団でむにゃむにゃしてる千早様を残して部屋を出ようとしたら、パシッと腕を掴まれた。
「私も一緒に行くよ」
眠そうな顔で私について来ようとする千早様が可愛くてちょっぴり笑うと、今度はムスッとした表情で抱き寄せられた。
「沙織は無防備すぎるね。もう少し危機感を持つべきだよ。周りにはもちろんだけど、私に対しても…ね」



