「実は……玄葉が見初めた娘は、自殺してしまったんですよ」
「自…殺…?」
衝撃の告白に言葉を失った。
千早様もただ目を丸くしてる。
「ですから玄葉は人間に生まれ変わろうと、転生山を上りました。しかし、山頂に辿り着く途中で落雷に撃たれ、片目を失ったのです」
あ……だから玄葉様の前髪は片側だけ長いんだ…。
失った目を隠すため…。
「失う覚悟とは…そういうことです」
大切な人に先立たれ、転生山を上りきることもできず、片目まで失った。
玄葉様……あんなに明るい龍神様なのに、とても辛い過去を背負っていたんだね。
「彼の前で今の話は御法度ですからね。教えたとバレたら僕が殺されます」
「わ、わかりました」
私の後に、千早様もこくりと頷いた。



