玄葉様が左の前髪をクシャリとかき上げながら笑った。

玄葉様の前髪は左側だけ目が隠れるほど長い。

気怠そうにかき上げる仕種をしても、左目が見えることはなかった。


「私が嫉妬深いのなら、それは沙織のせいだよ。沙織が可愛いからいけないんだ」


「え?私のせいですか!?」


「あらやだ!責任転嫁!」


「情けないですね。正直に自分の心が狭いと認めたらどうですか?」


「うっ……」


二人とも、千早様に対してズバズバ言うからすごい。

理不尽な千早様のセリフに正論を叩きつけて撃沈させるなんて…!

見習わなきゃ。


「まあ、千早様が沙織ちゃんに惚の字なのはわかりきってることだから置いといて。問題は澪様よ。彼女、マジで怒ってるわよ?どうすんの?」