シジマ様とミオ様がいなくなった後も、なぜか残りのお二人は帰らなかった。

クロバ様に、スグル様。

何だか、この方達はとてもフレンドリーで面白い。


「クロバって、こう書くのよ」

自室に戻って家族宛ての手紙の続きを書こうとペンをとったら、クロバ様に絡まれた。


「玄葉(くろば)?」


「そうよ。ちなみにミオ様とシジマ様はこう!」


“澪(みお)”様に“静寂(しじま)”様。


「僕の名前はこうです」


傑(すぐる)様。

日常生活で使わないような難しい漢字ばっかり。

玄葉様が一番簡単かも。


「こら!傑!玄葉!どさくさに紛れて沙織の手を握るな!」


千早様が背後からギュッと抱き着いてきた。

……重い。


「いいじゃない、手くらい。嫉妬深い雄って醜いわよ?」