川に沿って歩いていくと、やっと神社の鳥居が見えてきた。
家からここまで、徒歩三十分。
軽い運動になる。
そのせいで冬なのに身体はすごくポカポカ。
吹き付ける冷たい風が気持ちいい。
私は鳥居をくぐって社殿に近づいた。
相変わらず、人が少ない。
というか、いない。
ちょっと立ち寄ってはすぐ帰る人ばかり。
お賽銭をあげてる人もいないに等しい。
「………あげとこうかな」
昨日、願いを叶えてくれたし。
私はポケットに入れていた小銭入れから十円を取り出した。
それを賽銭箱にチャリンと入れる。
すると――。
「なんだい?また何か願い事があるのかな?」
社殿の上から声がした。
上を見ると、なんと社殿の屋根に彼がいた。



