「なんだか暑いわね」
耐えられなかったのか、おばあちゃんが着ていたコートを脱いだ。
確かに、ここは暑いきがする。
「表の世界が冬だったから、こっちは夏なんだよ。向こうが春ならこっちは秋になる。向こうが昼ならこっちは夜。そうやって陰と陽の関係が成り立っているんだ」
つまり逆さまの世界ってこと?
なら、向こうが夕方だったから、今ここは午前中なのかな?
「さて、どうしようかな。またさっきみたいに抱えて飛んでもいいけれど……龍の姿の方が楽なんだよね、運ぶの」
千早様の…龍の姿?
「沙織、見たいかい?私の本来の姿」
「えっ!」
み、見たいと言えば見たいけど…龍なんだよね?
怖く、ないかな…?