私の浦島太郎予想は見事にハズレた。
全身が池に吸い込まれたと思ったら、何らかの力により一瞬にして頭上へ引き上げられ、気がついた時には、私達は同じような池から顔を出していた。
どうやら、塒池から別の池に移動してきたみたい。
不思議なことに服は全く濡れていなかった。
千早様の言った通りだ。
「ようこそ、裏側へ」
千早様が私達を土の上に降ろして言った。
「裏側?」
「龍の世界のことだよ。人間の世界が“表”ならこっち側は“裏”なんだ」
千早様の説明を聞きながら私は辺りを見回した。
ズバリ言うなら、森の中。
というより、山の上?
なんだか塒山の山頂に似てる。
でも遠くを見ても、山が連なるばかりでビルのような建物は全然見当たらない。
自然の宝庫。
まるで太古の世界に来てしまったよう。