冗談とわかっていても千早様の一言に翻弄される私の胸。
ドキドキする鼓動を落ち着けようと胸に手をやった。
その時。
ズキンッ
「っ…」
左肩から胸にかけて、嫌な痛みが押し寄せた。
一瞬かと思いきや、ズキンズキンと止まらない。
これって、伊吹様が言っていたこと?
心臓にまで龍化が進んだの…?
「沙織?どうしたの?」
「あ…何でも、ないです」
まだここにいることをせっかく千早様が許してくれてるのに、龍化が進んで辛いなんて…言ったらダメだ。
心配させちゃうし、早めに連れて行かれちゃうかもしれない。
私はまだ大丈夫。
おばあちゃんが治っておじいちゃんと会うまでは、絶対ここにいるんだから…!
見届けてからじゃなきゃ、龍の世界には行きたくない。



