「あ、それから私のお母さんが千早様に会いたがってました」
「へ?沙織のお母さん?」
「はい。千早様の話をしたら、家に連れて来なさいって」
ふわりと飛翔しながら千早様がうーむと唸った。
「なんだろうね。なんだかすごく嫌な予感がするよ」
「そうですか?」
確かに良い予感はしないけど。
千早様の前で堂々と文句言いそうだよね、お母さん。
「今さらだけど、おばあさんは家にいるよね?」
「はい。あ、でもおじいちゃんは入院中ですけど」
「えっ?そうなのかい?なら明日の方がいいのかな…」
どうしたんだろう?
千早様が考え込んでしまった。
もうすぐで家の庭が見えてくる頃なのに、降下する様子がない。



