「それでも、まだこちらへ来させぬのか」
千早様が唇を噛み締めた。
たぶん、千早様もわかってるんだ。
これ以上龍化が進んだら、私が危険だって。
でもこうして助けてくれるのは…。
私は伊吹様の方に首を動かした。
「まだ…!まだ行けないんです。もう少し…せめて明日まで待って下さい!」
「…なぜだ」
「見届けたいことがあるんです。私の…願い事」
呟いてから、千早様が軽く息を呑んでる音が伝わった。
後でちゃんと説明しなきゃ。
「………ふん、好きにしろ」
しばしの沈黙の後、伊吹様はそれだけ言うと昨夜同様、地面に吸い込まれるようにして消えてしまった。
「また…消えた…?」
私が驚いていると、千早様が説明してくれる。



