冬だからって山頂まで行けば汗かくだろうし…。
うわ~ん!どうしよう!その辺にいないの!?千早様ぁ!!
私が心の中で虚しい叫び声を上げていた時。
「待て伊吹!!」
ん?この声、千早様!?
急斜面が迫る左側の木々の奥から聞き知った声が響いてきた。
「しつこいぞ、黄龍!」
あ、伊吹様の声もする。
二人の声は段々と近づいてきてる。
もしかして、こっちに来る?
気づいてくれるかもしれない!
「千早様ぁー!」
私は思い切り叫んだ。
「ん?沙織の声?」
「沙織か」
同時に気づいてくれたみたい。
叫んだ一秒後には、二人とも私の目の前に姿を現した。



