「今時の人間はこんなものを好むのか」
言うなり彼は……
ゴクン
ココアを飲んだ。
「い、ぶき様…?」
まさか、飲まれるとは予想外だった。
「ふむ……甘いな」
ペロッと唇を舐める仕種がとても色っぽい。
思わず見惚れてしまった。
「何を見ている」
「あっ、すみません…」
綺麗な翡翠色の瞳が真っ直ぐ私を見つめてくる。
緊張と恥ずかしさに耐えられず、赤くなりながら俯いた。
「俯くな。俺を見ろ」
イスから立ち上がった伊吹様に顎をクイッと掴まれる。
整った顔立ちに影をつける真白の長髪が私の肩にかかるほど、彼は顔を近づけてきた。
「ふっ…間抜け面だな」
けなされて、ますます私の頬が熱を持つ。
「だが……悪くはない」
囁かれた瞬間、唇が塞がれた。



