そう。お風呂の時に気がついた。
鱗は私の左肩から手の平まで範囲を広げていた。
「痛みは?」
「少し…」
たまに手の平がズキズキする。
肩の辺りも、突然鈍い痛みが走ったりする。
「少しとは…やはり鈍感だな」
そう言うと、もう私の腕に興味がなくなったのか、伊吹様は視線をココアに移した。
え…?なんでそんなにココアをガン見してるの?
私は袖を直しながら伊吹様の様子をうかがった。
すると…。
「それはなんだ?」
「え?」
相変わらずココアを見つめてる伊吹様。
「ココアですけど…」
「美味いのか?」
「え…あ、はい。美味しいと思います。私は…好きです」
「そうか」
伊吹様はココアの入ったコップを手に取った。



