「マーサ」

メグに名前を呼ばれたと思ったら、
「なっ…」

何と言おうとしたあたしに、チュッと音を立てて唇の横に何かが触れた。

…えっ?

「おま…!?」

今…今何したんだ、おいー!?

って言うか、今のって…。

手で頬を押さえたあたしに、
「チューくらい、別にどうってことないだろ?」

メグは何でもないと言う顔をしている。

チューくらい…何だって、おい!?

唇ギリギリのところとは言え、メグの唇が触れてしまったことは一生の不覚である。

油断した…!

躰の安全ばっかりで、唇の安全は特に考えていなかった…!