その声に視線を向けると、
「ナナ…」

ナナだった。

あたしと同じ学校帰りなのか、制服姿である。

グレーのブレザーと黒のズボンと言う一見すると何でもないその制服は、ナナが着るとハイセンスなブランドのように見えた。

そこは着こなし方の問題もあるんだろうけど。

「ナナもバッティング?」

あたしの質問に、
「俺は友達の付き添い。

野球よりもサッカーが好きなんだ」

ナナは答えた。

「友達って…」

一体、どこにいるんだ?

首を動かして、ナナの友達を探し始めたあたしに、
「そいつならもう帰ったよ」

ナナは言った。