緑のチェック柄のパスケースだった。

確かこの中に免許証とか保険証とか学生証とか…って!

「テメー、あたしの個人情報パクったなー!?」

あたしの叫び声に少年は両手で耳をふさいだ。

「昨日落としたのはマーサの方でしょ?

俺はそれを拾ってあげたんだから」

椙山恵はしれっとしている。

落とした…だと?

パスケースはカバンにキーホルダーとしてつけていたはず…だったけど、肝心のヒモが切れていた。

「俺の職業が詐欺師じゃなかったって言うのが運のツキだね」

椙山恵はパチリとウインクした。