「ダンス部のエースがこんなことしてる場合じゃないと思うんだけど」

パチンパチン

針井のしゃべる声とホチキスを止める音が教室に響いた。

「…俺のこと知ってるんだ」

そう言った俺に、
「霧ヶ峰くんは有名人だから」

針井は返した。

「じゃあ、俺のこと嫌ってるのは何で?」

続けて質問した俺に、
「わたしがいつ霧ヶ峰くんを嫌いだって言ったの?」

針井は返した。

「いろいろな意味で嫌ってるみたいじゃんか。

性格とか、後は…何だ?」

と言うか、俺は一体何が言いたいんだ?

と言うよりも、俺は何故針井に話しかけているんだ?