「七緒が出て行った後、西脇ちゃんが追いかけてたけど…何か話したか?」

向けたとたん、太がそんなことを聞いてきた。

「あー、まあ少しな」

俺は答えた。

「何て何て?」

太はニヤニヤしながら俺の机に身を乗り出してきた。

さっきまでの謝罪してた姿はどうしたんだ?

「また会えるかな的なこと言われた」

隠してもしょうがないので呆れながら答えると、
「マジ!?

やったじゃん!」

太は手をたたいた後、俺に親指を見せた。

4弦までミュートできるくらいの長い親指である。