早足で部屋を出て、受付を通り過ぎようとしたら、
「待って!」

西脇優奈の声に呼び止められた。

何だよ、一体。

冷やかしにでもきたのかよ。

俺は振り返って、西脇優奈を見る。

「あの…ごめんなさい!」

俺と目があったとたん、西脇優奈は躰を2つ折りにして謝った。

「…はっ?」

謝られた俺は訳がわからなかった。

何で彼女が謝るんだ?

「悪いのは太の方なんだけど」

そう言った俺に西脇優奈はハッとなって、
「…あっ、そうだったね」
と、呟くように言った。