針井は言いたくないと言うように、俺から目をそらした。

「おい、どう言う意味だよ?」

俺が質問しても、
「そのままの意味」

針井は俺に背中を見せたまま答えた。

「いや、意味わかんないから聞いてるんだけど…って、おい!」

続けて質問した俺に、針井は歩いて行く。

「ちょっと待て!

おい!」

俺の声に、針井は早足で教室を飛び出した。

フワリと、お菓子を思わせるような甘そうな香りが教室に残る。

「…何だよ、あいつ」

って言うか、厄介って何だよ厄介って。

訳がわからない以外、何も見当たらなかった。