針井が驚いたと言うような顔をした。

ふーん。

俺はくるりと針井に背中を向けると、教室を出た。

アンドロイド針井も、驚いた顔ができるのか。

そんなことを思いながら廊下を歩いていたら、運動部の元気な掛け声が聞こえた。

さっさと職員室にプリント届けたら、俺もさっさと部活に行こう。

そう思っていたら、
「あの…」

後ろから声が聞こえた。

振り返ると、プリントを抱えた針井が立っていた。

「何だよ」

そう言った俺に、
「…ありがとう」

呟いているかのような小さな声で、針井が言った。