「おーい、霧ヶ峰!

振付と立ち位置の確認するから早くこーい!」

離れたところで岩田さんが手を振って俺を呼んだ。

「はーい!」

俺は返事した。

「七緒くん」

寧々が俺の名前を呼ぶ。

「決勝戦、頑張ってね」

寧々はそう言った後、微笑んだ。

「ああ、絶対に見てろよ」

俺はそれに答えると、ズボンのポケットからヘアバンドを出した。

それで髪をまとめると、岩田さんのところへ走った。


ステージの裏で最後の振付と立ち位置の確認をしていた時だった。

「あれ?」

誰かの声が聞こえた。