8月某日、ダンス甲子園の決勝戦。

「あー、来世分の運を使い果たした気分だぜ…」

軽く準備体操をしながら俺は呟いた。

「七緒くんは強運の持ち主だね。

期末テストも物理で100点をとったし」

準備体操をしている俺に話しかけてきたのは寧々だ。

「あれは、寧々の教え方がよかったんだって。

寧々が一緒に勉強してくれなかったら、物理だけ赤点だったよ」

「わたしは何にもしてないよ、本当に。

七緒くんの実力と強運のおかげ」

「俺、そんなに運持ってないし」

訳がわからないやりとりを始めた俺に、
「やかましい!

暑いのは気温だけで充分じゃ!」

太の怒鳴り声が飛んできた。