ダンス室で静かに響くのは、エリック・クラプトンの「Change the World」だ。

元はアメリカの女性歌手、ワイノナ・ジャッドの曲だったが、それをイギリスのミュージシャン、エリック・クラプトンがカバーしてシングルとして発売された。

ある大御所ミュージシャンをプロデュースしたことや楽曲の美しさが話題となり、シングルは大ヒットとなった。

日本でも原田知世や倉木麻衣、CHEMISTRYなどさまざまなアーティストにカバーされているほどの名曲だ。

今日のように踊る気力が起きない日は、この曲を聞くのが俺の癒しだ。

テナーの澄んだ声と優しく奏でるギターの音に、俺は目を閉じた。


6月も終わりに近づいてきたのと同時に、梅雨も終わった。

今年は例年よりも早い梅雨明けらしい。

本格的な夏モードに入っている世間とは対照的に、俺の心は晴れなかった。

寧々のことだ。