そんな言葉が聞きたい訳じゃない。

「どうしてこんなことしたんだよ?

理由があるから、あいつと手を組んで…」

「響ちゃんは関係ないの」

俺の言葉をさえぎるように、西脇優奈が言った。

「はっ?

響ちゃん?」

それが氷室の下の名前だったことをすぐに思い出した。

「いとこなの…。

響ちゃんとは、いとこ同士なの…」

呟くように震える声で言った西脇優奈に、
「いとこ…?」

俺は衝撃を受けるしか他がなかった。

そこら辺に転がっている傘は、間違いなく俺の傘だ。

だけど俺は取りに行こうとしなかった。

と言うよりも、取りに行けなかったと言う表現の方が正しいかも知れない。