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氷室くんとは家が隣同士の幼なじみで、家族ぐるみのつきあいだったの。

特にわたしのところは両親が共働きって言うこともあったから、氷室くんにはいつもお世話になってた。

元々人見知りで、友達もいなくて…でも氷室くんは別だったの。

いつもわたしのことを理解してくれて、わたしが好きな本の話とかいつも聞いてくれて、仲間外れにされても彼はわたしの手をひいて仲間に入れてくれた。

本当に、氷室くんは別だったの。

だけど…その言葉が通用するのは、小学生の時までだった。

中学生になって環境が変わって、小学生の時から一緒だった子たちも急に大人になったみたいに変わって…わたしはわたしで、環境とかいろいろなことについて行けなくて。

気がつけば周りにはグループとか派閥とかができて、いつの間にかわたしは1人ぼっちだった。

それでもわたしは本を読んで毎日を過ごしていたんだけど…中学1年生の、2学期くらいだったかな?

きっかけは確か、グループ学習だったと思う。

周りはグループができあがって行く中、当然わたしはどこのグループにも入れなくて1人だった。