ダンス甲子園の予選大会が終わって、3日目の昼休み。

その日は雨が降っていた。

俺と太は教室ではなく、軽音楽部の部室で過ごしていた。

教室には針井がいるけど…あの日以来何となくだけど、針井がいるところに自分がいてはいけない気がして逃げるように他の場所で過ごしていた。

部室の窓から雨の雫を眺めている俺に、
「――いじめられていた、んだって?」

太が話しかけてきた。

「うん」

俺は答えると、窓から太に視線を向けた。

太は机のうえに抹茶オレを置いて、ギターの手入れをしていた。

俺は針井が話してくれたことの1つ1つを思い出した。