「――七緒くん…」

俺の名前を呟いて、俺を見た寧々のその顔は、泣いていた。

「寧々…」

俺が名前を呼ぶと、寧々はつかまれていない方の手で涙をぬぐった。

「ごめんなさい…。

あんなところを見せちゃって…」

呟くように謝る寧々の躰を引き寄せた。

マシュマロの甘い香りに、俺は寧々がここにいることに安心した。

「――わたし、氷室くんを…」

「うん」

「大切な幼なじみを…大切な友達を…」

「うん」

「――わたしのせいで、傷つけちゃったの…」