全てを出し切った感覚を躰で感じながら、俺たちは戻った。

「お疲れー」

太が手をたたきながら声をかけてきた。

「七緒くん」

寧々の声に視線を向けると、
「お疲れ様」

微笑みと共にタオルが渡された。

「サンキュ」

俺はそれに笑顔で答えると、タオルを受け取った。

ヘアバンドを外して、流れる汗をタオルでぬぐった。

「すごくかっこよかった!」

嬉しそうに寧々が言った。

そうやって褒められるのはしょっちゅうのはずだ。

だけど寧々に褒められると、何かが違う。

…その違いはよくわかんないんだけど。

「ありがと!」

俺が答えると、寧々は嬉しそうに笑った。