体育祭から1週間が経った。

変わったことと言えば、朝の通学である。

「行ってきまーす」

前より5分早めに家を出て、向かった先は駅である。

通勤通学ラッシュのこの時間帯。

そこに、
「いた」

イチョウの木の下で今日も優雅に読書をしている寧々の姿を見つけた。

俺は寧々に歩み寄ると、
「おはよう」

声をかけた。

寧々は読んでいた本から顔をあげて、
「おはよう、霧ヶ峰くん」

あいさつをした後、本をカバンの中にしまった。

恋人としてつきあうことになった体育祭の翌日から、俺たちは毎朝一緒に登校するようになった。