「霧ヶ峰くんこそ…」

「んっ?」

「本当に、わたしでいいの?」

そう聞いてきた針井に、
「針井が好きだから、言ったに決まってるじゃんか」

俺は答えた。

俺たちの声は、周りの雑音によってかき消される。

だけど、何故だかよくわからないけどお互いの声がはっきりと聞こえていた。

何だろう、これは。

「霧ヶ峰くん」

「何だ?」

「よろしくね」

そう言った針井に、
「よろしくな、針井」

俺は返した。