「恋人として、でしょ?」

針井が言った。

俺は口を閉じた。

「――俺で、いいのかよ」

口を開いて、呟くように針井に言った。

「霧ヶ峰くんでいいから、言ったんだよ。

霧ヶ峰くんが好きだから、言ったんだよ」

――好き

針井の口からそんな言葉が出てくるとは思わなかった。

「いつから、俺のことが好きだったんだよ?」

「…それは、わたしもわかんないな。

霧ヶ峰くんと話をしていたら、いつの間にか」

「…そうか」

照れくさくなって、今まで頭に巻いていたハチマキを首のところで下ろした。