「すげー大逆転だったな」

俺が太の隣に座ったとたん、太が言った。

「ちゃんと計算して走ってるからな」

俺は笑いながら返すと、スポーツドリンクを口にふくんだ。

「七緒が策略家だってこと忘れてた」

太はやれやれと言うように両手をあげた。

「霧ヶ峰くん」

その声に視線を向けると、針井だった。

「何?」

そう聞いた俺に、針井は困ったように目を伏せた。

「七緒、俺ちょっとトイレ行ってくるわ」

太はそう言って腰をあげると、校舎の方へ向かった。

「座ったら?」

俺に言われた針井は太が座っていたところに腰を下ろした。

…何かこれ、午前中にもやったような気がする。