「わたしが興味あるのは、本だけだから。

流行りのものとか苦手だし、そのうえしゃべるのは苦手だし…。

それで周りから距離をとった結果がこれなんだろうね」

針井は自嘲気味に笑った。

「いいんじゃねーの?」

俺は言った。

「俺は、ありのままって感じがしていいと思う。

ムダに着飾っているヤツなんかよりずっといい。

周りにあわせるくらいなら、自分らしく生きている方がいいと思う」

針井は、目を伏せた。

「…針井?」

俺は名前を呼んだ。